アンディ・サワー スペシャルインタビュー

'82年11月9日生まれ、オランダ出身。Team SOUWER所属。身長174cm、体重70kg、過去の戦積は123戦117勝5敗1分。
'02年からシュートボクシングに参戦。その中でも、立ち技最強を決めるビッグイベント「S-Cup」において第3回、第4回大会で連覇を達成。
「K-1 WORLD MAX 」でも2度の優勝。今回の「S-Cup2008」では、3度目の優勝に期待がかかる。
シュートボクシング最大のイベント「S-cup」が、格闘技の聖地・さいたまスーパーアリーナに初進出する。日本人枠には同大会06年王者・緒形健一、そして日本ウェルター級王者の宍戸大樹がエントリーされたが、やはり注目すべきはこの男、アンディ・サワーだろう。「K-1 WORLD MAX」を過去二度にわたって制覇しただけでなく、隔年開催の「S-cup」でも02年の第1回大会と04年の第2回大会を連覇している。彼に対するマークが年々厳しくなるなか、今年の誤算は10月の「WORLD MAX」準決勝での敗退劇だった。おそらくは、魔裟斗との決勝に向けて体力を温存した結果だろう。無難な試合運びでアルトゥール・キシェンコにポイントを奪われ、延長戦のすえに判定で散ってしまった。彼の頭にどうしてもよぎるのは、06年の日本シリーズである。「WORLD MAX」の決勝ではブアカーオ・ポー・プラムックの右ストレート一発でKOされ、続く「S-cup」の決勝でも緒形に判定で敗れた。2年前の悪夢を今年も引きずれば、再び同じ結果が待っているかもしれない。いよいよ正念場に立たされたサワーから、生の肉声を聞いてみた。
■練習風景を見ていると、ずいぶんリラックスしているように見えます。現在のコンディションはいかがですか。
7歳でキックボクシングを始めてから、無数の試合をこなしてきただろ。試合前の調整には馴れてるから、いつもリラックスしてるよ。自分を客観的に見られるように、平常心をキープすることは大事だからね。さすがに試合当日ともなれば緊張感も高まるだろうけど、それまでは極めて冷静さ。それに今は、最高の体調だよ。まったくのノープロブレムだし、むしろ力がみなぎってるね。
■たしかにプロとしてのあなたの経歴には、舌を巻かざるをえません。04年の「S-cup」で2度目の頂点に立ったとき、まだ21歳という若さだったにもかかわらず、100戦を越えるキャリアがありましたからね。だけど一昨年の第3回大会では、減量ミスで緒形に敗れています。アンディほどの選手が、ずいぶん基本的なミスを犯してしまいましたね。
あの年の敗因は、モチベーションにあったと思うね。6月の「WORLD MAX」でブアカーオにKOされたのをきっかけに、少し自信を失ってしまったんだ。自分の力を過信しすぎて、ブアカーオに鼻をヘシ折られたというわけさ。あの敗戦が減量対策にも影響を及ぼしたんだね。まちがいなく、精神的な落ち込みが原因さ。11月の「S-cup」までに、メンタル面をピークへもっていくことができなかった。「WORD MAX」も「S-cup」も、どちらも重要な大会なんだけど、両大会の間隔があまり開いてないからね。
■だけど次の年の07年、「WORLD MAX」では初戦の佐藤嘉洋に3-0で圧勝、決勝トーナメントの1回戦ではオーレ・ローセン、準々決勝でもドラゴといったハードパンチャーをKOで葬ってます。日本では無敗と、アンディが大ブレイクした年となりましたね。
緒形に負けたあと、2ヶ月ぐらい休養をとって新しい年を迎えたんだ。ボクが生まれ育ったのはオランダ南部のセイント・デンボッシュという、チョコレートケーキで有名な町なんだよ。この地域の人間っていうのはね、人生を謳歌してる連中が多いんだ。男はすぐに大口を叩くし、親戚や仲間が集まるたびにいつもワイワイ騒ごうとする。そこでボクも周囲をみならい、格闘技のことを頭からすっかり消して、とにかく遊びまくったのさ。それでうまくリセットできたのが、昨年ビッグブレイクできた原因になったんだと思うよ。
■今年も「WORLD MAX」でつまづきました。「負けたアンディにS-cupで優勝されるわけにはいかない」と緒形も語っています。2年前の悪夢が蘇りませんか。
あの試合は自分から積極的に前へ出ようと思ってたんだけど、どこかに気の緩みがあったのかもしれないね。でもボクには、「一度経験してる」という強みがあるだろ。逆に、2年前の失敗をうまく生かすことができるんじゃないかな。もちろん、2年前の決勝で負けてる緒形は要注意人物だし、今回は宍戸にも警戒しないとね。でも、まず同じ結果にはならないと思うよ。
■これまでのキャリアで、自分を最も成長させてくれた試合は誰との対戦でしたか。
そりゃあ一昨年の「WORLD MAX」、魔裟斗との決勝だよ。去年もTKOで勝ってるんで、今年は「魔裟斗に3タテ」が目標だったんだ。それだけに、準決勝でアルトゥールに判定負けしたのが本当に悔しいよ。日本のスターファイターである魔裟斗との試合は、オーディエンスの反応がひじょうに刺激的だろ。ボクを応援してくれるファンなんて、おそらく一人もいないという超逆境の試合になるからね。超アウェイ状態のなかで、今年の「WORLD MAX」を制した選手にボクは2回も勝てたんだ。自信にならないわけがないさ。今年の「S-cup」は、そうしたこれまでの経験をすべてぶつけていくつもりだよ。
Text/李 春成
Photo/若林 広弥
